CSPPをもっと知る > CSPP便り
修了生自主企画 神奈川医療少年院訪問見学の報告
EXPRESS16 Photo TOP
去る7月23日、修了生・在校生合わせて30人の希望者が神奈川県相模原市にある「神奈川医療少年院」の見学に訪れました。見学会を企画した石井秀夫さん(2011年修了生)にお話しを伺いました。
医療少年院とは?
少年院は、非行(犯罪)を犯した少年を更生させて、健全な社会生活が送れるように教育する施設です。全国に50カ所以上あり、そのうちの4カ所が精神的・身体的に疾患のある少年の治療と更生を目的とする「医療少年院」です。
この「医療少年院」にも2種類あり、ひとつは心身に欠陥や病気のある少年を治療するための「病院としての機能」を有するもの、もうひとつは発達障害や知的障害者、情緒的未成熟者などの少年を収容して治療的教育を行う「少年院版の特別支援学級」の役割を有しているものです。
「神奈川医療少年院」は後者に属し、勤務する職員には心理職の人も多数います。
グラデライン
今回、医療少年院の
見学会を企画した理由を
教えてください。
「このような場所があって、そこで職員の方たちがどのような思いで、どのように子どもたちと関わっているか、司法という観点から、子どもたちがどのように社会に戻るための教育を受けているかを知るよい機会になるのではないかと考えたからです。それでなくても、普段の生活で司法や福祉の制度について知る機会はなかなかありません。CSPPで学ぶ人たちは社会人ですが、司法や福祉の制度について知っている人は少ないですし、司法関係の人もほとんどいないので、見て知ってもらうのもいいのではないかと考えました」
グラデライン
参加メンバーは
どう集めたのですか?
「私自身は以前に一度ここを見学したことがあり、その話をCSPPカウンセリングルームに話したところ、当時室長だった鈴木尚子さん(2007年修了生)がぜひやりましょうということになって、メンバー募集自体はカウンセリングルームが行ってくれました。30人を定員にしたのですが、そんな人数は集まらないだろうと思っていたら、募集をかけたその日のうちにあっという間に定員が埋まり、皆さんの関心の高さに驚きました」
グラデライン
見学はどのように
行われるのですか?
「まずはビデオで全体の概要説明が行われます。次に院長(医師)から、制度変更によって現在の少年院制度がどうなっているか、その中にあって神奈川医療少年院がどのような位置づけにあるかを説明してもらい、その後、実際に施設の中を案内してもらいました」
グラデライン
参加した皆さんの
感想などは?
「みんな職業も環境も違いますし、見学会に参加した動機や何を知りたいかも違いますが、それぞれの立場から感じること、得るものはあったのではないかと思います」
グラデライン
医療少年院の見学は
希望すれば
すぐにできるのですか?
「司法関係は敷居が高いと感じがちで、気軽に見学に行くイメージではありませんが、地域の人に少年院をもっと知ってもらいたいという気持ちを職員の人も多くもっています。
 施設から出ていった子どもたちがなかなか社会に受け入れてもらえない現状があり、その現状を何とか変えたいというのが施設職員の方たちの思いです。そのために実際に子どもたちを見てもらいたいと考えていて、積極的に新聞の取材なども受けています。見学も担当窓口に連絡を入れれば随時可能です。日程の調整で少々時間がかかりますが、司法制度と心理教育と子どもたちの更生教育を合わせて知るよい機会になると思いますので、希望する方はぜひ訪問されるとよいと思います」
参加メンバーから
喜入さん
2014年修了生
子どもの心理療法や家族療法に興味があったこと、医療少年院では子どもにどのような心理的援助をしているのか知りたくて参加しました。「少年院」という施設については「言葉で聞いたことがある」程度の認識でしたが、見学会に参加後は、施設自体も、そこで働く職員の方、入所している子どもたちの存在もより身近なものとして感じることができるようになりました。
とくに、今回伺ったのは「医療少年院」だったこともあって、ドラマセラピーといった心理療法なども取り入れられており、一般社会に出ていくための生活訓練の様子も見学できて、自分の仕事(母子・父子家庭からの相談、精神科クリニックでの児童デイケア)に参考になる部分もありました。貴重な体験ができたなと思います。
石橋さん
学生
私がCSPPで学んでいるのは、依存症の人たちの心理ケアを仕事にしたいと考えているからです。薬物依存などになっていく人たちの中には、家庭に問題があり、早い時期に罪を犯して少年院に入った経験をもつ人もいて、彼らはどのような子どもだったのかを理解したくて見学会に参加しました。
実際に見学してみて印象的だったのは、ドラマセラピーのための舞台が設置されていたり、箱庭があったり、心理療法のための設備や環境が整えられていたことです。治療を受けて社会に戻っていったとして、「実は社会に出てからのほうが厳しい」という職員の方の言葉も胸に刺さりました。
今回は「医療少年院」ということで、知的障がいや発達障がいを抱えた子どもたちが入所している少年院ですが、親の対応ができていなくて相談機関や医療機関につながれず、結果的に盗みなどの犯罪をおかしてしまった子どもたちであることを考えると、「自分は彼らに何ができるか」を突き付けられたような気がします。「何ができるか?」という問いをもって行くところなんだと実感しました。
金田さん
2014年修了生
今までカウンセリングを担当したクライエントの中に少年院や服役の経験がある人たちがいたことが、今回の見学会に参加したいと思った理由のひとつです。入院中、どのように過ごしているのか、日々どのようなプログラムがあるのか、また施設の中の雰囲気や様子を直に体感してみたいと思いました。
職員の方が「少年院にもいろいろな種別があり、医療少年院に来るのは障がいなどのハンディや、何らかの”弱さ”を抱えた子どもたちが多い」と説明してくれましたが、"少年院"という言葉から連想されがちな、いわゆる〝非行少年〟タイプではなく、どの子も一見した感じではどこにでもいそうなごく普通の子たちでした。早い段階で学校や家庭など社会の中での支援があったら違っていただろうにと、胸が痛みました。
常勤のソーシャル ワーカーや心理の専門家がいたり、いろいろな心理プログラムがあったりする神奈川医療少年院は、他の施設よりも恵まれているとのことで、それも「他にはこうした環境がないのか」という驚きとともに印象に残っていることです。また職員の方たちはみな熱心ないい方ばかりで、「立ち直りは少年院だけでは完結しない。ひとりでも多くの人に少年院の実際を知ってほしい」とおっしゃっていました。
彼らに必要なのは刑罰ではなく教育や支援であることを痛感したと同時に、今後自分が仕事をしていく上でも今回の経験をいかしていきたいと思いました。
バックナンバー
第16号 (2014年11月発行)
修了生へのインタビュー in サンフランシスコ

第15号 (2013年9月発行)
Congratulations! 2013年CSPP修了祝賀会

第14号(2013年4月発行)
4月から「カウンセリングルーム」始動
カウンセリングルーム開所式が開かれました

第13号(2013年1月発行)
東京サテライトキャンパス開校10周年記念シンポジウム開催
「人のつながりを活かす心理学とは」 〜Psychology as Public Good

第12号(2012年9月発行)
2012.9.29学校説明会 プチ潜入リポート

第11号(2011年9月発行)
PART 1 2011夏期講座リポート 「子どものセラピー」を集中的に学ぶ8日間スクーリング
PART 2 特別シンポジウム 「災害とトラウマ」シンポジウムが開かれる

第10号 (2011年3月発行)
Commencement Class of 2010 2010年学位授与式

第9号 (2010年8月発行)
Face to Faceで学ぶ8日間の夏期集中講義

第8号 (2010年4月発行)
サンフランシスコ・キャンパス便り No.2

第7号 (2009年10月発行)
2009年度学位授与式

第6号 (2009年8月発行)
KAPsの活動

第5号 (2009年6月発行)
久保隆司先生へインタビュー

第4号 (2009年5月発行)
サンフランシスコ・キャンパス便り No.1

第3号 (2009年4月発行)
オンラインクラスの新しい形

第2号 (2008年4月発行)
田中葉子先生へのインタビューがスペイン語の新聞に
オンライン講座がリニューアル

第1号 (2008年3月発行)
カリフォルニア州心理学会総会がカリフォルニア州アナハイム市にて開催
優秀な修士論文に贈られる「本間玲子賞」設立