修了生座談会
臨床心理士の受験と合格体験談


石井久恵さん、大濱和美さん、大塚静子さん、角田みすずさんは、アライアント国際大学/カリフォルニア臨床心理大学院東京サテライトキャンパスの第一期生として2002年に入学し、3年間の修士課程と2年の臨床経験を経て、2007年の臨床心理士資格認定協会試験に合格しました。今回は、学生アドバイザーで臨床心理士でもある向後善之先生を交え、合格までの体験談を伺いました。 

 

― ― 皆さんは2007年の臨床心理士資格認定協会試験を受けるにあたり、修士課程終了後にどのような場所で臨床経験を積まれたのですか?   


石井: 私は3年生の時に臨床実習でお世話になった、東京医科歯科大学難治疾患研究所の中村俊紀教授の下で、修了後も実務経験をさせていただきました。


大濱: 臨床実習でお世話になった精神科医が開業しましたので、そのクリニックでインテーク面接、個人・グループセラピーなどを実践してきました。また同時に、民間のカウンセリングルームでも、個人セラピーや講座などを担当しつつ実務経験を積んできました。  


大塚:  現在周愛利田クリニックというアルコール依存症治療がメインの病院(ギャンブル依存、その他患者さんもいらっしゃいます)で在学中に臨床実習を行い、修士課程修了後セラピストとして採用となりました。勤務して、もうかれこれ2年半が経とうとしています。仕事の内容としてはグループ運営、ソーシャルワーク、心理面接、心理テスト、ミーティングなどいろいろと行っています。また各関係機関と連携をとったり、患者さんのご家族と連絡をとってケースカンファレンスなどを行ったりもしています。最近ようやく慣れて、「家族とこども」という視点を大変興味深く感じながら仕事をしています。


角田: 臨床経験は、3つの領域で行いました。1つは、地域で個人開業をされているクリニックで、医師との連携のもと、 大人と子どもの心身症への個人面接や家族面接を中心に。2つめは、それまでの福祉領域における経験を活かして、発達障がいのある方への療育指導と親面接、職員へのメンタルヘルスの臨床経験を積みました。3つめは、障がいのある方への就労支援に関する厚生労働省指定の養成研修行うNPO で、実務と研究を行いました。


― ― アライアント国際大学/カリフォルニア臨床心理大学院で学んだどのようなことが実際の臨床現場で役に立ちましたか?


石井: どの授業も実践に即したものだったので、単なる知識に終わるというものはありませんでした。その中でも、自分が追求したいテーマで、1年間オンライン授業を続けながら仕上げる修士論文と、年間400時間*の臨床現場での実習は、修了後、最も役に立ちました。
私は元々は歯科医師で、歯科臨床の中で、いわゆる心身症、神経症の患者さんへの対応に心理学的知識の必要性を感じてCSPPに入学しました。実際に心理臨床の現場を経験することにより、歯科医療と心理臨床の違いを実感し、入学時に抱いていたイメージを、いい意味で覆すことができました。もし400時間の臨床実習がなかったら、私は修了後に心理臨床の現場で研修を続け、歯科医師と平行して臨床心理士としての仕事を続けるには至らなかったと思います。実践に即したプログラムがCSPPの大きな特徴であり、だからこそ、すべての授業が修了後に臨床の現場で役に立つのだと感じています。 (注:現在の臨床実習時間数は320時間です)


大濱: 学んだことの全てが直接・間接に役立っていると思います。なかでも臨床面接特論で学んだサイコセラピー技法や、社会病理学の講義で学んだ現代の社会集団で生じているさまざまな心理学的問題とその対処法、事例検討を通じて学んだケースの考え方などが役立っています。さらに、臨床実習と毎週のスーパービジョンを通じて、統合的サイコセラピーのスキルを身につけることができ、臨床場面で活かせていると思います。


大塚: 今ひしひしと感じていることはアセスメントの授業です。実践にもとづいて授業が進められているので、今でも当時の資料をもとに心理テストのレポートなどを書いたりしています。



― ― 向後先生も米国の大学院で修士課程修了後に臨床心理士の資格を取得され、CSPPという教育現場だけでなく実際の臨床の場でも広くご活躍されています。これからの日本において、どのような臨床心理の専門家が必要とされていると思われますか?


向後: さまざまなクライアントさんがいらっしゃいますから、多様なクライアントに適切に対応できるように、その方の状況や個性に合せてカウンセリング理論や技法を適用できるような、引出しのたくさんあるカウンセラーが必要とされるのではないかと考えています。 時代は刻々と変わっていきますし、それに従ってクライアントの傾向も変わってくると思いますので、カウンセラーの資質としては、そうした変化に対応できる柔軟さを持つことが要求されるように思います。それから、クライアントの世界を共感的に理解するための豊かな想像力が大切だと思います。



― ― また、向後先生は、CSPPの修了生だけでなく、在校生も対象とした臨床心理士資格認定試験のためのワークショップを開講されていました。オンライン講座と対面式講座を併用されたそうですが、講座の内容などについて聞かせてください。


向後: 臨床心理士資格認定試験の範囲は非常に広く、幅広い知識が必要になります。したがって、講座は、これまで学んできたことの総復習のような意味合いが強いと言えます。具体的には、主要な心理学・臨床心理学の概念を、講座に参加した学生に分担しまとめてきてもらって、輪講するといった形をとりました。みなさん、非常に熱心に取り組んでくれました。
また、オンライン講座を併用したので、東京近郊に住んでいない学生とも、さかんに情報交換をしました。学生さんたちが、自主的に取り組んでくれたので、私のほうは、言ってみれば応援団長みたいな役割だったですね。
実はCSPPの1期生には既に臨床心理士の資格を持って入学された方や、医師の仕事をしていて既に試験の資格を持っておられる方もいました。2007年にCSPP修了生として試験に合格した5人を合わせると、11人の修了生が 臨床心理士として活躍していることになるので、大変嬉しく思っています。  



― ― 石井さん、大濱さん、角田さんは、向後先生のワークショップを受講されたそうですね。どういった点が一番参考になりましたか?


石井: 先生ご自身が臨床心理士試験を受験し合格されているので、その経験談がとても参考になりました。1次試験対策では、過去問の勉強方法を指導していただき、先生ご自身が受験されたときにまとめた資料もいただきました。2次面接対策では、会場の雰囲気や、面接時の質問事項、受け答えなどをお聞きするこができたので、当日落ち着いて面接を受けることができました。
臨床心理士試験は範囲も広く1人で勉強していると不安が募ってしまいがちですが、同じ目標を持った仲間たちと、励ましあうことができたのも、大変大きな心の支えとなりました。向後先生が、お会いするたびに「大丈夫、大丈夫!」と励ましてくださったことで、最後まで諦めずに勉強していくことができたと思います。先生に見守られて、受験生一同が頑張れたのだと思います。


大濱: 私は地方での孤独な闘いだったので、オンラインを通じて励ましてくださる向後先生と、支えあう仲間の存在が何よりもありがたかったです。また知識だけでなく、向後先生の受験体験談や受験にかかわるさまざまな情報交換がとても役に立ちました。


角田: 平成19年度から臨床心理士試験の受験制度が変わりましたので、受験資格が得られるかどうかという不安をもっていました。これまで長い時間、学校をあげて先生方が受験資格の保証について努力してくださっていたのを知っていましたので、ぜひ協力して乗りきりたいと思い、講座に応募しました。
一番大きな収穫だったのは、同じ志をもつ仲間と月に一度会い、「やっぱり資格を取りたい」ということを確認しあえたことです。オンラインは、距離を感じさせず、在学中と同じように自分のペースで 課題の分担ができましたし、対面では納得のいくまで情報交換ができて、なおかつ笑いのたえないリラックスできる時間になりました。また、既に臨床心理士として活躍されている先輩がTAとして実際的なアドバイスをしてくれましたので、自分の苦手分野をあきらめずに学べることができて、とてもよかったです。



― ― これからCSPPへの進学を考えている方々に何かメッセージをお願いいたします。  


向後: みなさまのオリジナリティを歓迎します。臨床心理学は新しい学問ですし、常に進化していると言ってよいかと思います。学生と教員が自由にディスカッションできるところが、アライアント国際大学/カリフォルニア臨床心理大学院の大きな特徴ですから、どんどん自分のアイデアを提案してください。


石井: 日本の学校は「教育」が主体で、学生は受身であることが多いと思いますが、CSPPでは、自分が主体的に考えて「学ぶ」という経験ができます。3年間の修士課程を終了する頃には、自分で問題点を見出して、解決していく姿勢が身についていると思います。臨床心理の仕事をしたいという情熱をもった方の期待を裏切らない大学院です。どんどんトライしてほしいと思います。


大濱: CSPPには臨床経験を積まれた素晴らしい先生方が揃っていて、学生の学びたい意欲に熱意をもって応えてくれます。在学中に自分は何を学び、身につけたいか、明確な目的意識をもって入学されると、より大きな成果を得ることができると思います。さらに、在学中から大学院の勉強だけにおさまらず、臨床心理に関するさまざまなワークショップなどに積極的に参加し、臨床家としての技量を高められることをお薦めします。


大塚: 私はCSPPを修了して、現在の病院で仕事をしている中で人間的に成長させてもらったと実感しています。臨床の現場は本当に厳しい面もありますし、目の前にいる患者 さんと向き合わなければならない面もあります。その点で大変厳しいと思いますが、別の面でみると、精神面でも、専門性でも伸びるチャンスだったりすることもあります。 そういったことを段々と積み重ねていけるところが、この領域に入ってよかったと実感している点です。そのきっかけになったCSPPに感謝して います。ぜひチャレンジしてみてください。


角田: 常に新しい知見や方法を得られること、そして仲間から学べること、実践的であること、こんなに中身の濃い 3年間は他にはありません! ぜひアライアント国際大学/カリフォルニア臨床心理大学院の仲間として一緒にやっていきましょう。



――ありがとうございました。